前回、ハラスメントの定義を確認しました。
当事者でなかったとしても、ハラスメント感度が低いとどんなリスクがあるのかということに触れていきました。
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★5秒でおさらい★
~ハラスメントの定義~
他者に対する言動等が
●本人の意図とは関係なく、
●相手を不快にさせている
●尊厳を傷つけている
●不利益を与えている
●脅威を与えている
分野・立場を問わず、相手の立場や気持ち、尊厳を踏まえた言動がとれなかった場合は、全てハラスメントになる可能性がある
ということでした。
定義はわかったけれど、感じ方は人それぞれとも言え、育った環境も価値基準もわからない相手に対し、ニュートラルな態度とはどういったものなのかわからない……
価値観も就労形態も多様化する今、戸惑う人が増えているのも事実です。
社則として決めている企業もありますが、全体としてはなかなかケアが行き届きにくい分野です。また、ハラスメントは社外の関係でも起こるものなので、それぞれに新たな概念として知識やバランス感を培っておくことが大切です。
自分の身を守るため、また、自分が『ハラッサー』にならないために、ハラスメントのグレーゾーンを見ていきましょう。
今回は職場のパワハラチェックです。
する側、される側、両方の可能性からみていきましょう。
厚生労働省から、「職場のパワハラ」定義が配信されています。
~職場のパワーハラスメント定義~
同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、又は職場環境を悪化させる行為
では、具体的にはどんなことか、凡例をみながらチェックしていきましょう。
『何でできないの?』
『どうしてできないの?』
『ありえないでしょ』
『これまで何を学んできたんだ!』
これらは仕事を教わる立場のときに、言われた体験があるという方もおられるかも知れません。
昔は終業後に「おー、つきあえー」なんてそのまま上司と一杯呑みながら、「お前の将来のために厳しくしてるんだ、俺もつらいんだよ」なんてことで終わりになることもよくあったのではないでしょうか。
もしご自身の中にこれが当たり前のこととして根ざしていたら、即捨てて下さい。
もし、あなたが今言われていたら、そして苦痛を感じていたなら、すぐに然るべき立場の方、もしくは機関に相談してみたほうが良いかも知れません。
もしくは、あなたが、これらをそのまま使っていたら、パワハラ上司度、かなり高い可能性大です! (ちなみに「一杯つきあえ」もNGです)
この言葉により、相手がもし精神的に追い詰められていったとしたら、それは立場を利用した「能力否定」となり、間違いなくパワーハラスメントになります。
対面だけではなく、メールや電話だけでも同じようにNGです。
「打たれ強そうだから」
「運動部だったって言ってたし」
「無表情だから気にしてないかな」
その価値観、全部×です。
例え笑っていたとしても、心の中まではわかりません。
自分は耐えてきた、自分は気にしない、は通用しないのです。
また、自分が今、これを言われる立場にいて、とてもつらく、職場に行くことすら憂鬱になってしまうようなら、パワーハラスメントにさらされている可能性があります。
すぐに職場の然るべき立場の方に相談するか、該当する立場の方がいなければ、ササエルにご相談下さい。
◆これもパワハラグレーゾーン◆
「こんな簡単なこと、なんでできないの?」
「できない理由は何なの?ほんと理解できない」
「無理なことは言ってないよね?」
改善のポイント
●他者に接する態度の基準は“自分の体験だけ”は大変危険なことです。
自分の価値基準を押し付けていないか? 言動・態度を常に振り返り慎重に。
●問題があれば具体的に指し示し、どうしたら改善するか提示する。溜息やちょっとした動作でも緊張感やプレッシャーは起こりえるもの。無意識にしていないか? 自分の態度を振り返ってチェック。
ミス共有
チームを組んでプロジェクトを進行している場合、成功もミスもみんなのものとして共有すること自体は悪いこととは言えません。
共有することでミスの再発を防ぎ、誰かが出せた成果は、チームのノウハウとして蓄積できます。達成感を共有していくことも、更なる成果に繋げられる大切な事かも知れません。
けれど、ミス共有が吊るし上げのようになってしまったら、それはハラスメント行為です。
仲間がいる前で、「○○君のようなミスは絶対にしないように」と言う発言や、強く非難することも避けるべきです。
強いプレッシャーを与え、恐怖心をあおって結果を出させるやり方は、パワーハラスメントと結びつきやすく、要注意です。
また、もし今こういった状況の中にいて強いストレスを感じながら業務にあたっている場合、すぐに相談したほうが良いでしょう。
◆これもパワハラグレーゾーン◆
・同僚がいる前で、ミスを挙げ連ねたり、大声で怒鳴ったり、避難するような態度をみせる。
・チーム全員へ過度にミスの共有をさせ、吊し上げのような状態を作る。
・メールで共有やチーム内の掲示板に書き込む等の電子ツール内のことでもNG
改善ポイント
●ミス共有が必要な場合、事実と解決策や改善案だけを共有
●絶対に間違うな!絶対に契約を取れ!など、結果を求めるあまり、かける言葉が過度のプレッシャーになっていないか充分に気をつける
●進捗管理も行き過ぎればパワハラ。程度やタイミングは適切か? しっかりと見極め、言動を振り返る。
まだまだありますが、今日はこのくらいにしておきましょう。
事例を知っていることも大切ですが、最も大切なことは振り返り、検証できるかどうかとも言えます。振り返りや自己検証は、ハラスメントの防止や回避に役立ちます。
客観視が難しいと感じた場合、その点を相談することも大切です。
業務内容も、職場の雰囲気も、そこそれぞれ。
パワハラ回避で慎重になりすぎると、適切な指導ができなくなるケースも。
ケースバイケースでもあり、簡単なことではありませんが、指導的な立場に立っている場合、頭の中には常に“パワハラ行為とそうでない行為の線引きがどこか”意識しておくことは大切なことです。
教わる立場や請け負う立場にいる場合も、自分がどんな状況にいて、どんな態度で接されているのか、相手がどんな価値観の持ち主なのか等、常に認識しておくことが賢明です。
いざ相談となったとき、どんな状況で何が起こり、自分はどう感じたのか、他のスタッフと同じか違うのかなどを認識していれば、より解決への道が開きやすくなるかも知れません。
『ツライ』と感じたとき、決して一人で悩まないこと。
自分だけが悪いと思わないこと。
我慢だけが解決だと決めつけないこと。
これらを忘れないでいて下さい。